• SoundCloudが社会のアイコン
  • Twitter Social Icon
  • YouTube Social  Icon

    道標


    口ずさむ歌はひとつ。

    それは優しく悲しい旋律で、バイクを走らせながらエンジン音にかき消される。

    真っ赤な信号がトロリ溶けていく。

    心にわだかまりをひっかけたまま、町をゆくみんなもたぶんそうで、おんなじ白線を踏み、灰色のコンクリには落ちないように、慎重に確かに歩みを進める。

    中学の頃、中古屋さんでアコギを買ってもらった。八千円のアリア。

    物陰に売る気なんて全然ないように、弦なんか張ってなくて、でも運命的にそれと直感を信じた少年は手に取り、弦を張り、ピックを滑らせた。チープな音がまるで自分みたいで気に入った。

    愛着がわいて、ずっと使ってるからもう10年くらい一緒にいるのかな。

    悲しくてしょうがない時も、嬉しい時もそばにいたギター。

    いっぱい歌を作って、歌った。それをだれかに聴いてもらった。たくさんの思い出がサウンドホールに詰まってる。

    だからこそ、新しくギターを買おうと思う。

    今、自分には何にもなくて、これからたくさんのものを見つけてゆかなければならない。

    自分が望んでここまで来た。だからこそ、後に引き戻さないためにも前に進んでゆける存在が必要かなって。

    道しるべ。そんなところ。

    今日弾いたギターもよかったけど、帰ったら他のも気になってきた。

    金に糸目をつけずに、明日決めよう。

    もっともっと、自分の歌が歌いたい。