緑と人


じいちゃんと会う目的を果たしたからには、遊びに出掛けねば。そう思い立つと、滝に行きたくなった。この散らかった家から母と妹を連れて出る。

山へと車で登り、歩き出す。 緑が深く、木々の葉が茂り太陽の光もなかなか地面には落ちてこない。 辺り一面が緑なのだ。森林浴でもしてるかのよう。

細かい水飛沫がふわふわと飛んでいる。その中をずんずん進む、岩はどれもが人以上の大きさで苔むしていたり、蔦が絡まっていたりした。そのどれもがひんやりと冷たく、そこに手をつきながら歩く。

観音の滝へたどり着く。 水が大量に落ち、辺り一面がどうどうという音に包まれていた。こんなにも煩いけれど、不快感はない。 水は人間と密に繋がっているからか、安心感すらある。

お弁当を食べた。うますぎた。 おにぎりって素晴らしい。 休憩して下ることにした。

太陽の傾き加減で景色がまた違った表情を見せる。 飽きることもない。自然はなによりも刺激的。どこもかしこも美しい。

どこか違う場所で働いていたとしても、ここはゆっくり朝が来て、太陽が昼に注ぎ、しっとりと夜を迎えてゆく。 人間の生活とはかけ離れたある意味別次元の世界。 そこへ行くことで、自分が人間であることを再確認する。人間の奥に潜む動物としての本性が覗き、五感で生き始める。 生きることの余計な部分が削ぎ落とされて、生活のリズムが変わる。 自然は尊い。命の在り方がちょっぴりだけど分かる気がする。

そうして東京へ帰っている。

深夜バス、15時間。果てしない。


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