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道標

 

口ずさむ歌はひとつ。

それは優しく悲しい旋律で、バイクを走らせながらエンジン音にかき消される。

真っ赤な信号がトロリ溶けていく。

心にわだかまりをひっかけたまま、町をゆくみんなもたぶんそうで、おんなじ白線を踏み、灰色のコンクリには落ちないように、慎重に確かに歩みを進める。

 

中学の頃、中古屋さんでアコギを買ってもらった。八千円のアリア。

物陰に売る気なんて全然ないように、弦なんか張ってなくて、でも運命的にそれと直感を信じた少年は手に取り、弦を張り、ピックを滑らせた。チープな音がまるで自分みたいで気に入った。

 

愛着がわいて、ずっと使ってるからもう10年くらい一緒にいるのかな。

悲しくてしょうがない時も、嬉しい時もそばにいたギター。

いっぱい歌を作って、歌った。それをだれかに聴いてもらった。たくさんの思い出がサウンドホールに詰まってる。

 

だからこそ、新しくギターを買おうと思う。

今、自分には何にもなくて、これからたくさんのものを見つけてゆかなければならない。

自分が望んでここまで来た。だからこそ、後に引き戻さないためにも前に進んでゆける存在が必要かなって。

道しるべ。そんなところ。

 

今日弾いたギターもよかったけど、帰ったら他のも気になってきた。

金に糸目をつけずに、明日決めよう。

 

もっともっと、自分の歌が歌いたい。

 

 

 

 

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