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押し寄せる

 

朝の電車の中へ光が差し込む。

ムートンブーツを履き、眠りこけている女の髪に注がれると発色の良い茶色が際立つ。

無機質な電車の中でそれは安心できる存在になると思う。

朝っぱらから事務所へ最後の挨拶をするために黄金町へ向かう。

学生やお勤めのサラリーマンやOLと並ぶ。

背中のほうで起きている朝焼けが上空の雲、そしてビルの先端を赤く染めていた。

 

降りた黄金町の空気は朝だから澄んでいておいしく、多くの車が行き交う中を歩き、信号を無視し、もくもくと歩く。

押しなれたエレベーターのボタン「3」を押した。

いつも通りの事務所。いつも通りの社長、会長にお世話になりました。と伝えた。

20歳の5月、スーツで来たのが懐かしい。

扉を閉め、ひとつ終わった。もう戻れない場所が、またひとつ増えた。

 

帰る前に、髪をばさりと切り、東京へ向かったり、夕方近くまでバタバタして、夜は引っ越しの荷造り。

思い出ひとつひとつと向き合って、捨てるものは捨て、もっていくものは段ボールにしまう。

もらった手紙、回したガチャポン、プレゼント、写真、宝物。

なんにもない部屋はいつの間にか物が溢れていて、それら全てに刻まれたものがある。

春、夏、秋、冬。一人、或いは誰かと一緒に。紐解いていくのにはエネルギーを使う。

だから今日はもうやめにして、小雨が降る中を吉野家へ。

 

懐かしい友達に佐賀に一旦帰ると電話した。いつも明るい声で太陽みたいだなぁと思う。

 

曲を作ろう。

明日は湯河原に泊まりに行く。

 

 

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