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フリスビーのように

仕事してると、声をよくかけられる。

今日は子供達だ。なんでもフリスビーが木に引っかかったから取ってほしいと言う。

3時の休憩時間にやってあげると言うときちんと時間通りにまた現れて 

「さっきの約束を…」とこちらを伺いながら近づいてきた。

 

おり脚立に乗って熊手で高い枝の先に引っかかったフリスビーを取ると、ゴムの材質のそれは意外としなやかでいかにも飛びそうな代物だった。

子供達にそれを渡した瞬間、

「俺が飛ばす番だ」「え!私だし」と取り合いをしながらどこか知らぬ方向へ駆け出しながらすぐいなくなった。

まるでフリスビーを飛ばすように。

 

俺はぽつんと、おり脚立の上にオレンジ色の熊手を持って取り残される。

ひとつひとつ段を降り、公園の地面に足をつける。もう子供達はいない。この空気。やけにシュール。

子供は風の子というけど、あれかもしれない。

こんな時、風みたく一瞬にして居なくなるからそう言うのかもしれない。ていうか、もうそれでいいや。そんなことを思った。

 

上空では風がびゅうびゅう鳴り、若い芽を繁らせた枝が風に押したり引いたりされてるように揺れ動く。それがこの空気感を紛らわしてくれる気がした。

 

休憩に戻り、コンビニで買ったアップルジュースを飲む。

あのフリスビー、一度くらい飛ばしてみたかったなとか考えながら。アップルジュースを一気飲みする。

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