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雲の毛布

眠りの淵から呼び戻される。

携帯がじりじり唸って、眠りまなこで電話に出る。まるで生まれたての子鹿がふらふらするように、はっきりとしない頭の中で話し出す。

そう簡単に起こる展開ではないけれど、意外に好きな瞬間かもしれない。

 

でもどうせなら、寝起きに聞くなら断然女の子の声がいい。

寝てた?なんて聞いてほしい。

現実は、30過ぎたおじさんの先輩が電話を掛けてくるのである。全くもって理想とは程遠い。

電話掛けているということなら、お互いの距離も遠い。

なにもかも遠いので、気も遠くなる。

 

そんな時は夜に流れる雲を思う。

夜にも雲はあるのだ。

ゆったり誰にもあまり気付かれずに流れている存在は、この世と少し距離を取っているみたい。

そんな雲をひとふさ掴んで毛布にしよう。

眠りの淵までそれはそれは優しい導きをしてくれそうじゃないか。

すっぽり頭から毛布を被って今日はもう終わりです。

僕はうずくまる。

 

 

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